2023年03月26日

レーシングフラットリンクについて

レーシングフラットリンクについて レーシングフラットリンクについて
(Panigale V4、Streetfighter V4用)

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目次

  1. 作製経緯
  2. 交換することによっての変化について
  3. ホイールストロークとリアサスストロークの関係
  4. ホイールストロークとリア荷重の関係
  5. まとめ



1. 作製経緯

このパーツの作製の原点は鈴鹿8耐への参戦です。
ノーマルリンク状態で走行テストをした時に、サスペンションがうまく機能していない事がわかった。調べてみると、純正部品の品番はV4RもV4S、V4も同じ品番であることが分かった。

V4S、V4は二人乗りも想定して作られている。そこから考えると、リアサスの性能を引き出すためにリンク比を変える必要があり、そこから開発が始まった。
何通りかのリンクを作製し、ベストな状態に至った。



2. 交換することによる変化

リンク比を変えることによってどうなるのか?
リアサスの特性をフラットにすることができる。思い出してほしい、1199や1299Panigaleにはリンクのところに切り替えが付いていた。「F」と「P」と記されていたあれである。
(「フラット」と「プログレッシブ」)

V4シリーズには切り替えが無い。したがって二人乗りを想定した「プログレッシブ」状態で、それはリアサスの動きが、初動と沈んだ時では特性が変わることを意味している。
サーキットやスポーツ走行では、プログレッシブの様に特性が変わってしまうと、サスセッティングが複雑になります。

特性をフラットにすることにより、沈み始めと沈みこんだ時の特性の差が少ないので、セッティングを出しやすくなるというのが最大の利点です。






 

レーシングフラットリンクについて



3. ホイールストロークとリアサスストロークの関係

前項で述べた「セッティングが出しやすくなる」というところをもう少し深堀していきます。

フラットリンクに変えることにより、サスペンションを多く動かせるようになります。
その結果、リアサスの沈み込みをより体感できるようになり、リア接地感や車体の姿勢が把握しやすくなります。
どのようになるか、数値で説明します。

この表は、ホイールを○○cm動かすために必要なリアサスのストローク量を記しています。
数値はおおよその数値です。

 

ホイールストローク(mm) フラットリンク
リアサスストローク(mm)
ノーマルリンク
リアサスストローク(mm)
20 9.4 9.0
60 28.4 27.6
100 47.6 46.6

100mmホイールを沈ませる方向に動かしたとき、フラットリンクでは47.6mmリアサスを沈ませなければならない。ノーマルリンクとの比較は+1mmである。
すなわち、フラットリンクの方が1mm多くリアサスストロークを使うことができるということになる。使える幅が広がることによって、体感的にサスの沈み込みがわかりやすくなるのです。



4. リアホイールストロークとリア荷重の関係

フラットリンクはリアホイールへの荷重も増やします。
これも数字を見て頂くとわかりやすいとおもいます。
数値はおおよそです。


 
ホイールストローク
(mm)
フラットリンク
リアホイール荷重(N)
ノーマルリンク
リアホイール荷重(N)
20 1095 1042
60 2210 2123
100 3321 3254


全てのストロークにおいて、リアホイール荷重が増えています。
すなわち、リアのトラクションがかかりやすくなり、グリップも増す方向になるということです。

このような計算をしてリンクを作製しています。
実際には、スイングアーム角度やレバー比、イニシャル、スプリングレートなどの数字を出し、計算しています。



 

レーシングフラットリンクについて


5. まとめ

このリンクは完全に性能重視で開発したリンクです。
コーナーリング性能、セッティング性能を考え作られています。
性能を引き出すためのリンクです。

ですから決して「乗りやすくなる」とか「快適に乗れる」というものではありません。

タイムが出るかどうかもセッティングとライダー次第です。
確実なことは、我々はこのリンクを8耐レーサーに使用し走っているという事実です。
それが全ての証明だと思っています。

詳しく書いてしまうとあまりにも長文になってしまうので、要点を絞って紹介しました。
何となく雰囲気は分かって頂けたかと思います。
これからもレースからのフィードバックを活かした製品を開発してまいります。
ご拝読ありがとうございました。




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