リンクのレバー比を変更したリンクを作製。

リアサスの動きがよくなり市販化も検討

担当
松田直也 (ディライト)
サスセッティングはエンドレスで地道な作業であることは、経験のある方であればわかっていただけると思います。
レースではライダーとメカニックが協力し、更にタイムを縮める為に努力をする。エンドレスに。
我々もサスセッティングの一環として純正とレバー比が異なるリンクを作製した。
現時点では2種類のリンクを作製し、新たなリンクも作製中である。
なぜ何個も作るのか?
作製するきっかけは最初の鈴鹿でのテストの時のライダーの言葉だった。
「リアサスが奥まで沈んだ時の動きがわかりにくい。」
早速、ノーマルのリンクを調べてみるとライダーの言っていることが鮮明に判った。
ノーマルのリンクはあくまでも公道で使用するためのレバー比になっていた。それに比べレースではリアサスの使用するストローク位置が深いところで使用するため、深く沈んだ時の感覚がわかりにくいようだ。
ここからリンクの設計が始まる。メカニック松田がCADを使いレバー比の計算と図面を作製した。
そしてリアサスの全長などの仕様が変更になるとそれに合わせたリンクを作製する。
何個も作る理由はこれである。
リンクと一言で言っても単体で効果を出すわけではない。サス長やスイングアームのピボットからアクスルまでの距離、リンクロッド長など様々な箇所が関与している。
すなわちサス長が変わればリンクのサイズを変えなければいけない可能性が出てくるので、仕様が変わればリンクもそれに合わせて作製しているので、何パターンものリンクが出来てしまうのである。
そして作製したリンクを組んでテストを行った結果、タイムも上がり、ライダーもいい感触を得てくれたようだった。


CADを使用しリンクの設計をするメカニック松田。
このような設計は経験がないと出来ない作業である。松田は過去に全日本のメカニックを経験しており、
アルミフレームなども作製する技術を持つ。
レースに対する知識は豊富であるためこういった作業は全て松田が担当する。
今回レーサに使用している専用部品(ステムや耐久用アクスルシャフトなど)は
全て松田の手によるものである。
レース以外にも商品の開発や、通常はお客さまの車両のメンテナンス、オイル交換などもしている。
このように一人がレースと通常整備を行い、いい部分をお客様の車両にフィードバックする。
そこがディライトの面白いところです。

上の写真がノーマルのリアサスリンク。
右の写真が作製したリンク。
作動軸からリンクロッド取付部までの距離が
明らかに異なる。
この違いが走りに大きな影響を与える。

このリンクはノーマルリアサス用のリンク。
テストに間に合わせる為に急きょ作製した為。
肉抜きもせず無骨な形状のまま。
リンクロッド取付穴が2箇所開いているのは、
リアサスの仕様が変わったときに変更する為。
これ以外にも全長が変更になったリアサス用を
1種類作製し、更に違う仕様を製作中。

リンク変更に伴い、リンクロッドも変更。
上の写真はノーマル。右が作製したロッド。
明らかに長さが異なり、
リンクとロッドの取付角度が変わっている。

これだけの違いだが走りが大きく変わる。
現在、市販化も検討中。
ディライトの商品はレースでのテストデータを
市販商品にフィードバックし設計されています。